この記事は、心身統一合氣道の根幹である氣の原理(心が身体を動かす)を日常に活用する事が目的です。
読むだけではなく、積極的に課題に取り組んで下さい。実践を通して得た学びは一生の財産となります。
藤平信一です。
年間を通して、私は数多くの講習会の指導や講演をしています。週末や祝祭日は総て指導をしており、平日であっても指導のない日は僅かです。
これだけ指導の機会があるということは、自分自身の稽古や、自分自身の学びも、それ以上に必要ということです。指導の時間は氷山の一角であり、目に見えない部分でその何倍もの学びの時間が必要です。
たとえば、「話の仕方」があります。
「話が上手になりたかったら、寄席に行って研究しろ」、私が内弟子時代に藤平光一先生に言われたことです。幸いにして、当時修行をしていた東京本部の近くには、新宿末廣亭という寄席があり、節約をしながら一年で何十回と通いつめました。
始めは経験の浅い方が出て来ます。自信がないことが見た目にすぐ分かり、客席は冷えて、ますます反応がなくなってしまいます。
徐々にベテランが出て来ますが、特に優秀な方は、出て来た瞬間(正確には出て来る前から)何かが違います。客席も瞬時に雰囲氣が変わってきます。このような空氣を感じるには、テレビやCDではなく、お客さんのいる舞台でないと感じ取れません。
始めは「面白い」としか感じられませんでしたが、そのうち、「なぜ面白いのだろうか」「他の人と何が違うのだろうか」と考えるようになりました。また、「自分と何が違うのだろうか」を考えるようになって、それを逐一、ノートに記録を取ることにしました。
すると、視線、表情、動作、話の間(ま)、声の大きさなど、お客さんの反応の大きい方は、実に細かなことまで、氣を配っていることが分かります。そうして得たことを、今度は自分の指導で活かす訳です。
勿論、私は落語家や芸人ではありませんので、相手を笑わせることが目的ではありません。だから、自分には関係ない分野と考えがちですが、実際には「伝える」という点に関して同じことだったのです。
「良く見る」「考える」「実践する」「検証する」ことを繰り返し、現在のような指導の仕方になりました。始めは数人を相手に指導するのも苦労していたのですが、今では、数人でも何千人でもお伝えすることが出来ます。「寄席に行け」と言われた意味が、今では良く分かります。
数年後、今度は別の形で課題が持っていました。
今では自分の内弟子に「話し方」「伝え方」をよく指導していますが、いくら指導しても一つも上手にならない者もいます。私が寄席に通いつめて得たことを教えたとしても、ほとんど役に立ちません。そもそも、彼らは「寄席に行け」と言っても何か理由をつけ行きません。
拙著「心を静める」の冒頭に書きました通り、「教わる姿勢」と「求める姿勢」の違いなのでしょう。教わっているうちは身に付きません。「よく見る」「考える」「実践する」「検証する」を繰り返し、初めて身に付きます。
話を元に戻しましょう。
技の稽古は当然のこと、誰かに指導をするということは、常に学び続けることが必須です。その姿勢がなくなったら、私には指導をする資格はありません。「常に学び続ける者だけが指導する」、これは心身統一合氣道会の指導員の大原則でもあります。
常に学び続ける人間のことを_____といいます。
共に学び続けて参りましょう。
【課題】
___には何が入りますか。正解は無限にあります。
※ これは「藤平信一メールマガジン」の掲載記事です。