この記事は、心身統一合氣道の根幹である氣の原理(心が身体を動かす)を、日常生活で実践し、そして検証することが目的です。
何事を身に付けるにも実践は基本ですが、「実践」だけではなく、実践後にどう変わったか「検証」が重要です。
知識として得た学びは、時に失いやすいものです。実践・検証して得た学びは、失うことはありません。まずは1ヶ月間、記事の内容を実践・検証して下さい。
藤平信一です。
心身統一合氣道を学ぶ上で最も重要なこと、それが「氣の原理」(心が身体を動かす)です。
我々は皆、心と身体を持っています。身体には色もあり形もあります。目に見ることが出来、触れて確かめることも出来ます。
一方、心には色もなく形もありません。相手の心を理解するばかりか、自分の心でさえ、良く理解していません。昔から「心は捉えどころがない」と言われる所以です。
しかし、実際にはそうではありません。心の状態は、何らかの形で身体の状態に表れています。つまり、身体の状態を通して、心の状態を知ることが出来るのです。
先日、ある会員から、内弟子が私への預かり物をしました。その内弟子は預かった物をその場に置き忘れ、それを私が見つけました。
すぐに私はその内弟子を呼び、厳しく注意をしましたが、「次は忘れない様にします」「今度は氣をつけます」など、内弟子は謝るばかりです。
いくら私に謝っても、この内弟子は良くはなりません。「心が身体を動かす」ことを理解していないからです。
心の状態が、形としてミスとなって表れるのです。同じ心の状態のままでは必ず同じミスを繰り返します。心の状態を知ることが肝要です。
したがって、私は通常、ミスを叱責することよりも、「自分の心と向き合うこと」を徹底して指導しています。
私と内弟子A(以下、A)とのやり取りをお伝えしましょう。
私 「なぜ、置きっぱなしにしたのか?」
A 「申し訳ありません。次からは氣をつけます」
私 「謝って欲しいのではない。なぜ、お預かりしたものを置きっぱなしにしたのだろうか?」
A 「一旦その場に置いて、後で取りに戻れば良いと思いました。でも、そのまま忘れて放置してしまいました」
私 「なぜ、後に取りに戻れば良いと思ったのか?」
A 「他にやることがあったので、それを優先しました」
私 「自分で出来ないならば、他の者に頼めたのでは?」
A 「・・・・・出来たとは思いますが、その時点では思いつきませんでした」
私 「それでは、なぜ思いつかなかったのだろうか?」
この様に、実に氣の遠くなるようなやり取りが続きます。しかし、この内弟子は悪意でこのように言っているのではありません。言い訳している認識もありません。
問題は、自分のしたミスが自分の心の状態の表れと捉えられないでいることです。自分の心の状態を知り、改めなければ、同じミスを何度でも繰り返します。
自分の心と向き合わないのであれば、良い指導者にはなれません。だからこそ私は、原因を曖昧にしたまま許すことは絶対にしません。
しばらくやり取りが続き、この様な本音が出て来ます。
A 「・・・・・実は、その瞬間、面倒に感じていたのです」
私 「なぜ、面倒と感じたのだろうか?」
A 「相手のことよりも自分の都合を優先していました。その方を大切に思っていなかったのだと思います」
私 「その心の使い方のままで良いのか?」
A 「いいえ。このままでは同じことを繰り返しますので、自分の心の使い方を改めます」
これだけのやり取りを経ても、変わらない者は変わりません。それでも諦めずに「自分の心と向き合う」ことを徹底させます。幸いにして、この内弟子は、これを最後に忘れなくなりました。
心身統一合氣道の技も、仕事や日常生活での行動も、心の状態の表れと捉えることが出来ます。「そんなつもりはなかった」などと逃げていると、自分の心と向き合うことが出来ません。
身体の状態を通して心の状態を知る。心の状態を知ったら、心の使い方を具体的に改める。
これを繰り返すことで成長するのです。
さて、今月の実践・検証です。
[実践すること]
- 仕事や日常生活でミスがあったら、そのミスを通して「どのような心の状態だったか」を知る。
[検証のポイント]
- 心の状態を知ったら、心の使い方を改める。
- その結果、どうなったかを記録に取る。
※ これは「藤平信一メールマガジン」の掲載記事です。