相手の氣を察する
この記事は、心身統一合氣道の根幹である氣の原理(心が身体を動かす)を、日常生活で実践し、そして検証することが目的です。
何事を身に付けるにも実践は基本ですが、「実践」だけではなく、実践後にどう変わったか「検証」が重要です。
知識として得た学びは、時に失いやすいものです。実践・検証して得た学びは、失うことはありません。まずは1ヶ月間、記事の内容を実践・検証して下さい。
藤平信一です。
東海道新幹線で東京から大阪に移動した時の話です。
通路を挟んだ隣の席に、ビジネスマン二人が乗っていました。どうやら会社の上司と部下のようです。発車ベルが鳴り終わるくらいに、慌てて乗り込んで来ました。
意識して会話を聞くつもりはなかったのですが、声が大きく、二人の会話が車内に筒抜けになっていました。
上司 「何度も八重洲北口って言ってあったよな。
なんで丸の内北口で待ってるんだ!」
部下 「すみません!
北口ってことしか覚えてなくて・・・・・」
この会話から始まる会話は、何と名古屋まで続くことなります。上司は強面のあげく、大変な剣幕で部下を責め立てます。部下は完全に怯えています。
上司 「喉が渇いたので、何か買って来てくれ」
部下 「はい、分かりました!」(返事は良い)
車内販売が来るのを待てず、上司は部下にお金をあずけて、飲み物を買いに行かせてました。数分後、飲み物を抱えた部下が慌てて席に戻って来ました。
部下 「お待たせしました!お飲み物です」
上司 「お前、これホットコーヒーじゃないか。
熱いコーヒーを一氣飲みしろと言うのか!」
部下 「ひぃ~。申し訳ありません!」
確かに「喉が渇いている」と上司が言っていたのですから、すぐに飲める温度の飲み物が正解ですね。
この後も実に噛み合わないやり取りが続きます。まるでコメディーを見てるようで、目が離せなくなりました。
上司 「少し腹が減ったな。何か朝食を買って来てくれ」
部下 「はい、分かりました」
またもや上司は部下を走らせます。
「氣を察するに、おそらくサンドウィッチが正解だろう」と、私は密かに予想していました。上司は、会話の中で昨晩飲み過ぎたと言っていました。時間帯も朝なので、あまり重たい食事は好まないはず・・・。
そんな中で部下が戻って来ました。
部下 「お待たせしました!どうぞ」
上司 「それ柿ピー(柿の種&ピーナッツ)だろう?
柿ピーだけ買って来てどうすんだよ!」
柿ピーはあり得ません。部下は更にこう続けます。
部下 「ビールもあった方が良かったでしょうか?」
上司 「そうじゃないだろ!
お前、俺を馬鹿にしているのか?」
部下 「とんでもない!」
上司 「もういいよ!サンドウィッチでも買って来い!」
それまでの会話によると、これから商談とのこと、ビールは絶対にあり得ません。
本人としては、部下は真剣そのもので氣の毒なのですが、これは、部下が「氣を察しない」ことが原因の一つです。相手に氣を向けて、相手の立場に立つことによって、相手の氣を察することが出来ます。
いくら一生懸命であっても、自分の立場だけで行動を取れば、相手が望んでいることには応えられません。「こんなに一生懸命なのに評価されない」という時は、自分の立場だけで行動を取っていることが多いのです。
「相手の立場に立つ」ためには、まずは相手のことを知ること。直接質問することだけではなく、何氣ない会話の中からや、表情や態度から読み取ることです。
相手の氣を読む(察する)ことは、訓練によって上達します。人に携わるお仕事をする方は、不可欠な訓練です。
締めくくりはこの会話。
上司 「少し寝るから、名古屋に着いたら起こしてくれ」
部下 「分かりました」
昨晩が遅かったのか、上司はすっかり寝込んでしまいます。新幹線は名古屋に到着します。
部下 「○○さん、もう名古屋に着きましたよ」
上司 「この馬鹿!
名古屋に着いてから起こしてどうすんだよ!」
そう言って、上司は慌てて準備して、部下と一緒に新幹線を降りて行きました。上司は荷物の中身を広げたまま寝ていたのです。数分、早くに声をかけていれば、何の問題もありませんでした。
本当にコメディのようです。このあと、一体どのような商談が待ち受けているのでしょうか。
一方、部下が上司の氣を察することが出来ない原因は、上司にもあります。
この上司は、眉間にシワがよりイライラしているので、部下は常に「また怒られないか」と緊張しています。本来氣を向けるべき事に氣を向けられないのです。
私は内弟子達を育成していますが、どうやら相当に恐いらしく、この上司と同じような目に合うことがあります。その都度、あらためています。
相手の氣を察することが出来ないと、合氣道は出来ません。まさに、生活の中の心身統一合氣道です。
さて、今月の実践・検証です。
[実践すること]
- 相手から何かを頼まれたら、まず相手の立場に立って考える(相手の氣を察する)。
[検証のポイント]
- それが本当に相手の望んでいたことであったか確かめる。
※ これは「藤平信一メールマガジン」の掲載記事です。
| 固定リンク











