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2007年12月の1件の記事

2007/12/01

答えは目の前にある

藤平信一です。

この記事は、心身統一合氣道の根幹である氣の原理(心が身体を動かす)を、日常生活で実践し、検証するための記事です。読むだけでは意味がありません。

何事を身に付けるにも実践することは基本です。しかし、ただ実践するのではなく、その結果、何がどの様に変わったかを検証することが重要です。

単なる知識として得た学びは、失いやすいものです。一方で、自ら実践し、検証して得た学びは失うことはありません。まずは1ヶ月間、実践・検証して下さい。


「答えは目の前にある」

今回は主に心身統一合氣道の指導者向けである。

指導者向けのセミナーで指導していると、「私はこの様に指導していますが、この指導方法で正しいでしょうか」とか「私はこんなアドバイスをしますが、このアドバイスは正しいでしょうか」などの質問を頻繁に受ける。

質問した方に、私は必ずこのように尋ねている。

私 「その通り指導して相手はどうなりましたか?」

そうすると、質問した方は言葉に詰まることが多い。そこで再度、尋ねてみる。

私 「その通り指導して相手はどうなりましたか?」

すると、質問をした方からは、

質問者 「おそらく理解したことと思います」

というような答えが返って来る。

私 「おそらく、というのはご自分の想像です。そうではなくて、実際に相手はどうなりましたか」

決して意地悪ではなく、同じ事を尋ねてみる。すると、質問をした方からは、

質問者 「すみません。よく分かりません」

という答えが返って来る。質問をした方は初めて、自分が相手に氣を向けていなかった事実に氣づくのである。

指導方法やアドバイスが正しいかどうかは、私が決めることではなく、相手の変化を見れば分かることだ。その上で分からないことは、当然、質問すべきである。

指導やアドバイスをした結果、相手が出来るようになりプラスの心になれば、それは、その指導やアドバイスが相手に合っていたことが分かる。

指導やアドバイスが、他の人に伝えても出来るようになるのならば、それは、その指導やアドバイスが、より本質に近いことが分かる。

「よく分からない」という事は、自分がした指導やアドバイスに対して、相手がどのように反応を示しているか全く見ていない、ということだ。即ち、伝えることで精一杯で、相手に氣を向けていないのである。

我々には多かれ少なかれ依存心がある。それはそうとしても、正しいかどうかの判断をなぜ他の人間に求めたくなるのであろうか。

一つの原因は、他の人間が答えを出すことで、それ以上考えずに済むからだ。他の人間が「正しい」と答えることで、安心してしまうのである。

昨今のテレビの人氣番組でも、自分の重要なことを他人に答えを求めるものが多い。他人が出した答えを聞いて納得すれば、それ以上考える必要がなく楽なのかもしれない。

別の原因としては、日本の学校教育の基本姿勢にあると私は考えている。

現在では様々な工夫が見られるが、従前の日本の学校教育では、問題の答えは常に一つで、その答えを知ることが勉強だった。問題には解答集があって、答え合わせをする感覚である。

一方で、現実社会の問題には、答えは一つとは限らない。時には、その時点で答えが存在しないこともあり得る。答えをもらうことに慣れすぎてしまった人は、自分から氣を向けて、相手の状態を知るよりも、答えを求めることを優先する。

これでは氣の学習とは言えない。

私は現在、内弟子を四人育成しているが、氣を向けることを怠ってただ答えを求めていることが多い。私から「正しい」という答えを得た瞬間思考は停止する。そのため氣を向ける訓練を徹底的にさせている。

相手が理解したのか、しなかったのか、相手の心の状態がプラスになったのか、マイナスになったのか。相手に氣を向けさえすれば、相手の状態は「見れば分かる」レベルである。

心身統一合氣道では、その「氣を向ける訓練」をしている訳だから、あとは、日常生活でも実践するだけだ。

ただし、「氣を向ける」ことは「顔色を窺う」ことではない。「氣を向ける」とは、心の向きは外向きである。「顔色を窺う」とは、心の向きは内向きである。自分への評価、相手にどう思われているか氣になる状態である。

相手に氣を向けて、自分の取った言動で相手がどう変化したのか、それを知ることから始まる。特に指導者は、相手に氣を向ける訓練を徹底的にして頂きたい。我々は、相手のことを見ているつもりで見ていない。

答えは私の回答にあるのではない。「答えは目の前にある」のである。

今月の実践・検証

[実践すること]

  • 相手(周囲)に氣を向けて、自分の指導やアドバイスで相手(周囲)がどの様に変化したかを見る。

[検証のポイント]

  • 自分のした指導やアドバイスで相手が良くなったか。相手の心はプラスになったかチェックする。
  • 自分の指導やアドバイスは、その相手だけに通用するものか。他の人にも通用するものなのか。

この記事は「藤平信一メールマガジン」に掲載されたものです。このブログより早く記事をお読み頂けます。

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