潜在意識を活用する
藤平信一です。
私がまだ学生の頃に聞いた話です。
名人と呼ばれる刀鍛冶が、新しく弟子をとりました。刀鍛冶が手始めに、弟子にある事を毎日させたそうです。一体何だと思われますか。
それは、最高の刀を見せることです。
「入ったばかりの新人に、刀の良し悪しが分かる訳がない」と言う人もいます。確かにそれも理屈かもしれません。しかし、刀鍛冶は来る日も来る日も最高の刀を見せました。
そのうちに、弟子は目を閉じていても、最高の刀を心の中で描けるまでになったそうです。その後の修行の結果、この弟子もまた名人になりました。
私たちが何かを身に付けようとするとき、心の中で持つ姿に無意識のうちに近づいて行きます。その姿が凡庸であれば、無意識にそれに近づきます。その姿が秀逸であれば、無意識にそれに近づきます。
学び始めの時期に、最高のものに触れておくということは、自分の心の中に、近づいていく目標を与えることです。意味が分かっても分からなくても、潜在意識に入るまで、最高のものに触れることが重要です。
刀鍛冶の話は、それを説いています。
心身統一合氣道において、最高の刀とは何でしょうか。それは、藤平光一先生の動きです。幸いなことに、藤平光一先生が49歳のときに撮影された「合氣道至上演武」という貴重な映像が残っています。
この映像は、「相伝(天の巻)」に収録されています。
私の指導先では、とにかくこの映像を見ることを徹底します。潜在意識に入るまで、何度でも繰り返し見て頂きます。すると、生徒は無意識に藤平光一先生の動きに近づきます。
それをしない指導者は、生徒の動きが我流になるか、指導者の動きに近づいていきます。指導者の正しい動きを身に付けるのであれば良いのですが、間違った動きまで似てしまいます。
昇級段審査会で、受験者の動きを見させて頂いていると、受験者の動作の癖の多くは指導者の癖です。
自分の目指すべき姿を潜在意識にしっかりと入れた上で、日々の稽古を積むことが肝要です。
指導者の視点で述べると、「やって見せる」ことが大切なので、一生懸命、自分の動きを見せます。実はそれが盲点で、それだけでは不足しているのです。
心身統一合氣道の技をしっかり身に付けたいと思っている方も、心身統一合氣道競技大会や昇段審査で結果を残したい方も、ぜひ藤平光一先生の動きを繰り返しご覧になって下さい。
映像の見方については、またお伝えしますね。
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