心が身体を動かす
心身統一合氣道を正しく学ぶ上で、最も重要な原理の一つが、「心が身体(からだ)を動かす」(氣の原理)です。
合氣道では相手の身体を投げます。そのため、合氣道を学ぶ多くの方が、目に見える身体のみを考え、目に見えない心の存在を忘れがちです。心の存在を忘れてしまっては、心身統一合氣道は出来ません。身体は見たり触れたりすることで、その存在を確かめられますが、心は色も形もないので、あるのは分かっていても忘れがちです。
誰でも「人を自分の思い通りに動かしたい」という欲求があります。その心のままに、合氣道で無理に相手の身体を投げようとすれば、相手の心は抵抗して、そこには必ず反発する力が生じます。相手の心を無視しては、投げるどころか動かすことも出来ません。
「心が身体を動かす」(氣の原理)に基づいて合氣道の技を行えば、相手の身体を投げることを考える前に、相手の心の状態を知って、その心を尊重して導くことを考えなければいけません。相手は望むことであれば抵抗はしませんし、反発も生じません。
心身統一合氣道の技を正しく行うと、「投げて喜び、投げられて喜び」、投げる方も投げられる方もプラスの感情だけが残ります。
心身統一合氣道を通して体得したことは、そのまま日常生活で活用することが出来ます。心身統一合氣道の稽古が深まってくると、「身体」を中心とした視点から、「心」を中心とした視点に転換します。そうすると、挨拶をするとき、言葉をかけるとき、お辞儀をするときなど、日常で自分がいかに形(身体)だけの行動が多いか氣づかされます。
人を育てる上においても、相手の行動を変えることを考えるのではなく、その行動を起こす相手の心の状態を変えることを考えられます。
問題解決においても、問題が生じた結果だけを論じるのではなく、問題が起こす元になった心の状態を考えるようになります。
この視点の転換が極めて重要で、ひとたび視点の転換があると、自分自身のこと、自分と他人との関わりで多くの氣づきを得られます。自分の姿勢や動作、コミュニケーションが劇的に変化します。
心身統一合氣道を通して「心が身体を動かす」(氣の原理)を理解し、日常生活で氣の原理を活用することが大切です。1953年に藤平光一先生が初めて海外に合氣道を普及し始めてから、多くの海外のお弟子さんは、視点の転換を求めて入門をしました。だからこそ、50年以上も継続して学んでいる方が多くいらっしゃるのです。
私も日々、氣づきの連続です。
「心が身体を動かす」ことを別の角度から見てみましょう。
「身体が心を動かす」という考え方も出来ます。もしそうであれば、心は常に外界からの刺激によって支配され、心は一瞬たりとも落ち着く暇はありません。もうすぐ夏ですが、蒸し暑いとイライラするのは最たる例です。忙しくなるとイライラして、周囲への心配りが欠けてしまうのも、身体の感じる刺激に自分の心が支配されている例です。
「心が身体を動かす」という考え方を持って生活を送るのと、「身体が心を動かす」という考え方を持って生活を送るのでは、生じる感情、生じる行動、生じる結果が全て変わってきます。皆さんはどちらを選択されますか。
今回のテーマの実例を、近日私のブログでご紹介しますね。
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