見る目を養う
この記事は、心身統一合氣道の根幹である氣の原理(心が身体を動かす)を日常に活用する事が目的です。
読むだけではなく、積極的に課題に取り組んで下さい。実践を通して得た学びは一生の財産となります。
藤平信一です。
今回の記事は心身統一合氣道の稽古をしている指導員や会員を対象としています。
ずいぶん前の話ですが、NHK総合の番組で、ある一流料亭で働く十代の女性が特集されていました。
将来、料理人となり自分の店を持ちたいという彼女は、この料亭で働くことを望みます。しかし、そう簡単には許可はされません。何度も何度も通って、料理人への思いを伝えながら、「どんな仕事でも一生懸命やります」と懇願をします。
その思いが料亭に通じたのか、「掃除だけならば」と、働くことを許されることになります。彼女は常に誰よりも早く仕事場に行き、掃除は勿論、どんな仕事であっても、自分から求めて行います。一つ一つの仕事を着実に覚えていきます。
ある時、その姿が料理長の目にとまることになります。「お前も市場に来るか」と声をかけて、料理長は毎朝、彼女を市場に連れて行くようになります。
料理長は何一つ説明はしませんが、あちこちを周って、彼女の前で、料亭で用いる素材を選んで行きます。彼女はそれをじっと見ながら、記録に残していきます。そのうちに、彼女も素材の目利きになっていくのです。
特集の最後で、インタビュアーが彼女にこう尋ねます。
「なぜ、この料亭で働きたいと思ったのですか」
すると、彼女はこう答えます。
「一流のものを見る目を養いたかったからです」
「一流」とは、素材だけではなく、料理の器やサービスなど、あらゆることが含まれるでしょう。修業(稽古)を始めるにあたって、まずは見る目を養う。現代において、十代の子がこの発想を持っていることに感動しました。
昨日の記事でご紹介した藤平光一先生の著書「心身統一合氣道」は、昭和47年に出版された心身統一合氣道の教本です。さらに、藤平光一先生が49歳の時に撮影された心身統一合氣道のDVD映像があります。
私はこのDVD映像を繰り返し見ることを勧めています。
これから長い道のりを歩いて行くとしましょう。目的地が明らかであれば、それを目指して一歩一歩、歩んでいくことが出来ます。目的地が明らかでないと、どこを進んでいるか分からず、道に迷うことになることでしょう。
心身統一合氣道の稽古も同じことです。
このDVDを、目を閉じても動きが浮かぶようになるまで、繰り返し見ることによって潜在意識に入ります。これは目的地を明らかにすることであり、日々の稽古で、目的地に一歩ずつ近づいて行きます。
それがないと、どこを目指して進んでいるか分からず、せっかく稽古していても、道に迷うことになります。
「初心者にはレベルが高いのでは?」というご質問をたまに受けるのですが、それは正しくありません。初心者だからこそ、最高のものを見ておくべきなのです。目を養うのは、上級者になってからでは遅過ぎます。
この本(DVD)は、歴史的資料としても価値は高いですが、その内容は日々の稽古に直結しています。「何となく」「自分なり」の稽古では、身に付きません。この本で、見る目を養って頂きたいと思います。
料理人という長い道のりを歩んで行くにあたって、彼女はまず________を明らかにしたのですね。放送から数年、いま彼女はどう成長しているのでしょうか。
実に興味深いです。
【課題】
___には何が入りますか。正解は無限にあります。
※ これは「藤平信一メールマガジン」の掲載記事です。
| 固定リンク











