2021/10/01

息心の行

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今回は先日発売された新著『心と体が自在に使える「気の呼吸」』で、ページ数の関係から割愛したテーマです。


心身統一合氣道の稽古の一つに、50年近く継続している「息心の行(そくしんのぎょう)」というものがあります。

取っ手の付いた鈴を振りながら、ひと呼吸で息を吐き続ける荒行です。鈴を振りながら、「とほかみえみため」という音で発声します。

始めは「」「」「」「」「」「」「」「」という8音、続いて「」「」「み」「み」「め」という5音、最後に「ほかみ」「みため」という2音に変化していきます。

2音になってから1時間程度、鈴を振りながら息を吐き続けます。一日かけて、これを繰り返すこともあります。

私は6歳のときからこの行を続けていますが、最初は本当に辛く、コツを掴んでからは、年々、楽になっていきました。


息心の行では、特に大事なことが二つあります。

一つは、全身に力みなく行うこと。

大きな声を出そうとすると、身体に力みが生じて吐けなくなり、数分もしないうちに苦しくなってしまいます。

「声を発する」ということは「息を吐く」ことであり、全身の力を抜き、全身を一つに用いて息を吐くことによって、ひと呼吸で吐けます。

始めは力みなくできていても、継続するうちに徐々に力が入り、後半になると乱れてしまうことも少なくありません。最初から最後まで、同じように続けられるのが理想の状態です。

もう一つは、全身全霊で行うこと。

息は出せば、自然に入ってくるものです。

長い時間行うからといって、ペース配分を考えて息の出し惜しみをすると、息が十分に入ってこなくなり、すぐに苦しくなってしまうのです。

全身全霊で息を吐いた次の瞬間には自然に息を吸うことができて、ずっと続けることができます。

「出し惜しみをしない」ことを体得するには、最高の機会なのです。


息心の行を学ぶには、まずは氣の呼吸法を実践する必要があります。

氣の呼吸法で、全身に力みがない状態で吐けるようになることで、吐く息が最後に自然に静まるようになります。すると、ひと息で吐いても、最後に一瞬で静まるようになります。

これが身につくと、発声、例えば号令や気合いが変わってきます。声を発した瞬間に音が拡がり、最後が静まっていくようになります。すると、遠くにいる人にもクリアに伝わる声になっていくのです。

さらに、身体の負担が少なくなります。私は一日に長時間講演するときがあり、声を発し続けるわけですが、幸いなことに、この訓練のお陰で喉が潰れることがありません。


ひと呼吸で吐くことは、パフォーマンスにも直結しています。

動作と呼吸が自然に一致するとき、私たちは力を発揮することができます。基本的に、私たちは動く瞬間は自然に息を吐いています。

ゆえに、息を吐くときに力みがあると、動作にも影響を与えてしまい、パフォーマンスを発揮できなくなってしまいます。

息心の行で力みなくひと呼吸で吐けるようになることが重要で、アスリートや俳優、伝統芸能の皆さんにも、よく体験いただきます。

新型コロナウイルスの感染拡大防止で、現在はなかなか一緒に行えませんが、感染が収束したら、息心の行をぜひ再開したいと思います。

「息を吐く」ことは、本当に奥が深いと思います。

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2021/09/21

本日、新著が発売されました!

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本日、新著『心と体が自在に使える「気の呼吸」』が発売されました!

紀伊國屋書店丸善ジュンク堂書店有隣堂などの書店でお求め頂けます(一部の店舗では、売り切れや取り扱いがない場合があります)。

購入された方を対象に出版記念オンライン講習(参加無料)を開催します。本日からエントリーを開始しますので、詳細については特設サイトをご覧ください。ご参加を心よりお待ちしています。

サンマーク出版のサイトでは、「プロローグ」と「第1章」を立ち読みすることができます。読者登録など必要がありませんので、下記URLからすぐにお読み頂けます。ご活用頂けましたら幸いです。

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2021/09/16

出版記念オンライン講習のお知らせ


いよいよ来週、9月21日にサンマーク出版から『
心と体が自在に使える「気の呼吸」』が発売されます。

紹介動画(約2分間)をぜひご覧ください。とても有り難いことに、あの方々から本書の推薦をいただいています。

本書を購入された皆様を対象に、「出版記念オンライン講習(参加無料・事前エントリー制)」を開催いたします。

講習の日時など詳細につきましては、新刊特設ページをご覧ください。皆様のご参加を心よりお待ちしています。

ご家族と一緒に参加される方も歓迎しています。

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2021/09/13

「秋のオンラインイベント」の申込受付を開始しました!

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10月30日()~31日()開催の「秋のオンラインイベント」の申込受付を開始しました。対象は心身統一合氣道会の会員・指導者です。

最初のクラスでは、私が指導する全体講習を行います。このクラスのみ、イベント終了後にオンデマンド配信を行います。

その後は、最大8クラスからご自分に合うクラスを選択できます。

初心者向けのクラス、昇級審査の技を稽古するクラス、普段は稽古する機会の少ない技を稽古するクラス、剣技・杖技のクラス、氣の呼吸法や氣の意志法、氣圧法のクラスなど様々なクラスを実施します。

今回はインターナショナル・オンラインイベントと同時開催のため、二日目には私が指導する英語クラスもあります。

秋のオンラインイベントの詳細については特設ページをご覧ください。

インターナショナル・オンラインイベントの開催を記念し、Tシャツやハンドタオルなど、様々なアイテムを用意いたしました。

Tshirt世界で学ぶ道友と一体感を味わえるように、参加予定の都市の講習開始時間を表しています。ドイツ・シュトゥットガルトにある道場の責任者であるウド・シル先生がデザインしました。

グッズはこちらで購入することができます。手続きでご不明な点ありましたら、販売サイトまでお問い合わせ頂きたくお願いいたします。

皆様のご参加を心よりお待ちしています。

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2021/09/10

西成活裕先生がイグ・ノーベル賞を受賞されました!

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世界的にユニークで奥深い研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式が行われ、東京大学先端科学技術研究センターの西成活裕教授が受賞されました。
誠におめでとうございます!

西成先生は、現在も心身統一合氣道の稽古を熱心になさっています。

西成先生とのWEB特別対談 を公開していますので、ぜひご覧ください。
さらに、拙著『コミュニケーションの原点は「氣」にあり! 』 では、「滞り」をテーマに西成先生との対談を収録させて頂いています。

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2021/09/02

新刊のお知らせ

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9月21日に、サンマーク出版から『心と体が自在に使える「気の呼吸」』という本を出版いたします。本書の最大の特徴は、出版プロデューサーと共に制作していることです。

本年4月に生出演したNHK総合「あさイチ」では、番組製作のプロが、「どうしたら視聴者に分かりやすくて役立つ内容になるか」構成を考え、そこに基づき心身統一合氣道の内容をお伝えしました。

様々な視点を持つ皆さんと、侃々諤々、話し合って作り上げることにより、私の視点だけでは得られない素晴らしい番組になりました。

今回の本でも同じような作り方をしていて、出版プロデューサーが、「どうしたら読者に分かりやすくて役立つ内容になるか」構成を考え、そこに基づき心血を注いで作り上げました。

私の視点だけでは得られない、これまでとは異なる本になりました。通常は「氣」の文字を使用しますが、本書では「気」を用いています。

皆さまに、ぜひお読み頂きたくご案内いたします。

心と体が自在に使える「気の呼吸」』(サンマーク出版)

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2021/09/01

氣合い

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私は心身統一合氣道の継承者です。

継承者として指名される前に、先代の藤平光一先生から幾つか課題を出されました。その最後の課題が「氣合い」でした。

当時、藤平光一先生の生家の代官屋敷には広い竹林がありました。そこに木剣を持っていき、剣を構えた状態で氣合いをかけるのです。

一週間に一度、この試験がありました。「イエイ!」という音で氣合いをかける、ただそれだけなのですが、これが最も難しく、半年かかっても許しが出ませんでした。

ただ大声を出すだけでは、屋敷の中にいる藤平光一先生に届きません。音が散ってしまうような感覚で、喉もすぐに潰れてしまいます。

何度も声を枯らしてしまう私に、藤平光一先生はこう声をかけました。

「お前はただ大声を張り上げている。氣合いとは、呼吸なのだよ」


あまりに出来ない自分に落胆し、あるとき気分転換で外に出ました。

空気が澄んだ冬の夜でした。辺り一帯には人も建物もありません。気温が低いと音がよく響くと言いますが、外に出て氣の呼吸法をしていると、遠くから動物たちの鳴き声が聞こえます。

呼吸が静まっていき、心地良く息を吐けるようになったときに、ふと出来そうな氣がして、「イエイ!」と気合いをかけてみました。すると、今まででは考えられないくらい、音が拡がっていきます。

「ああ、これだ!」

「声を発する」ということは「息を吐く」ということ。大声を出そうとするときは、身体に力みが生じ、呼吸が浅くなる。「声」の質は「呼吸」の質、だから深い呼吸を目指せば良いのだ!

それ以来、気合いをかけるよりも、氣の呼吸法をしっかり実践し、「身体のどこにも力みがない状態で息を吐く」訓練を始めました。

無限小に静まった状態から音を発して、また無限小に静まった状態に戻っていく。始めも、終わりも、波立って静まらないときは、上手くできないことも身体で理解しました。

そこから1ヶ月ほど経ったある日、いつも通りに竹林で気合いをかけた後、屋敷にいる藤平光一先生の元に戻ると、「それで良い。今日はここまでしっかり届いていた」と無事に合格となりました。

最後の課題を達成した瞬間でした。


それから様々な変化が表れました。

道場では号令が遠くまで響くようになり、よく伝わる指導になりました。人間は全身で音を感じていると言われていますが、発声が変わることで、明らかに周囲に与える影響が変化しました。

不思議なことに、英語の会話でも、よく伝わるようになりました。講演などで一日中、話をしていても、喉はつぶれなくなりました。交渉事も以前よりもスムーズに運ぶようになりました。

発声によって様々なことが変わっていったのです。

「氣」の観点でいえば、氣が通っていると、小さな声でも遠くに伝わります。反対に、氣が滞っていると、大きな声でも近くに伝わりません。

リラックスすることによって周囲に「氣」が通うのですから、どこにも力みなく息を吐くことが、最短で身につける方法だったのでしょう。


この経験から、舞台関係の皆さんによく「氣」を指導させて頂きます。

氣合いや号令をかけると、皆さん、発声にたいへん興味を持ちます。勿論、私は専門的に発声を学んだわけではありませんが、どうやら「声を発する」という土台の部分がそこにはあるようです。

舞台の役者さんも、小さな声でも本当に遠くまで届く人がいます。どれほどの訓練を積み重ねて来たのかと、私自身も積み重ねて来たものがあるので、いつも感動を覚えます。

先日、藤原竜也さん主演の舞台「ムサシ」を観劇して来ました。初演から12年間、この舞台は海を超えてロンドンやニューヨークでも上演され、辛口で知られる英米の劇評家や観客から大絶賛されました。

当時27歳だった藤原さんが35歳の宮本武蔵を演じるにあたって、人としての奥行きを表現するために、料理でいうところの「隠し味」として、心身統一合氣道の門を叩きました。

いま39歳となった藤原さんが演じる宮本武蔵は、それはもう圧巻でした。心から素晴らしいと感じた舞台でした。

氣の呼吸法で得られることは、様々なことに通じているようです。

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2021/08/31

特別対談(三浦友史先生)

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心身統一合氣道会 会報』では各分野の第一線の方との特別対談を行っています。バックナンバーをWebで不定期に公開しています。

長岡技術科学大学の三浦友史教授との対談記事を公開しました。

三浦先生は東京工業大学合氣道部の卒業生で、私の先輩にあたります。現在も心身統一合氣道の稽古を継続なさっています。合氣道を日常でどのように活かすか、合氣道部の伝統などをお話しました。

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2021/08/27

柏屋幸一先生が監督する映画が映画祭で受賞しました!

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柏屋幸一先生(心身統一合氣道8段)が監督・脚本・演出を務めた映画が、パリの映画祭 Beyond The Curve International Film Festival (BTCIFF)から Women’s Film 部門で受賞しました。

映画名は"Looking for Ai"で、柏屋幸一先生が責任者を務めるMidland Ki Federationの関係者も多数出演しています。

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2021/08/01

不動心

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嫌なことを言われ、それが氣になって目の前のことに集中できない。誰でもそんな経験があるのではないでしょうか。

一つのことにとらわれると、他のことに心を使えなくなってしまう。この状態を「心が停止している」といいます。

心身統一合氣道の技の稽古でも、同じことが起こるときがあります。

相手が力いっぱい自分の手首を持つと、持たれたところが氣になって、まったく動けなくなってしまうのです。

確かに持たれた場所は動かないかもしれませんが、少し冷静になれば、持たれていない場所は、自由に動かせることが分かるはずです。指先から、あるいは本体から動けば、何の問題もなく対処できます。

しかし、ひとたび「持たれた」ことにとらわれて、心が停止すると、その発想すら持てなくなり、まったく動けなくなってしまうのです。

これは実におそろしいことです。

日常生活でいえば、これが「気になること」にあたるわけです。心が一つのことにとらわれてしまうと、「何もできない」と勘違いしてしまって、心を前向きに使うこともできなくなります。

心の停止状態を防ぐには、いったいどうしたら良いのでしょうか。


それには心の性質を理解することが第一歩です。

心の動きを波に例えれば、本来は波が静まっています。そこに水滴が落ちると、その瞬間、水面に波が立つのは当たり前で、その波はまた無限小に静まっていきます。

私たちの心も同じです。

事が生じたときに、心が動くのは当たり前のことです。「心を動かさないように」「影響を受けないように」と抵抗をすると、水面は静まるどころか、余計に波立ってしまうものです。

嬉しいときは嬉しい、悲しいときは悲しい。「喜んではいけない」「悲しんではいけない」と抑圧する必要はなく、心から喜び、心から悲しんで良いのです。

悪口を言われたら、氣になるのが当たり前。「氣にしないように」と抵抗するから、余計に心が乱されるのです。大いに氣にして、その上でまた無限小に静まっていくだけです。

竹やぶに風が吹き込んで来たら、音がするのが当たり前です。竹やぶから風が過ぎ去ったら、音がしなくなるのも当たり前。それこそ「天地自然の理」であり、心の動きも然りということです。

大事なことは「動いても良い」と捉えること。波立っても良いのです。その上で、次の瞬間に元の静かな状態に戻っていくだけです。

すると、何事にも「さあ、いらっしゃい!」という気持ちで迎えられます。


「不動心」とは、心が動かなくなることではありません。心が動かなくなったら大変で、ましてや厚顔になることでもありません。

さらに、「心を静める」とは、感受性が鈍くなることではありません。感受性はより豊かに、そして感じたことに振り回されなくなります。

事が生じた瞬間、心は動きますが、次の瞬間にはまた静まっていきます。この状態を「心が静止している」といいます。

同じく止まっているように見えても、「停止」と「静止」では大違いです。

この辺りのことは鼎談本『動じない。』で広岡達朗さんと王貞治さんも、ご自身の体験を通じて語っていらっしゃいます。


心身統一合氣道では、「氣の呼吸法」や「氣の意志法」で稽古します。

外界からの刺激に、その都度、心が乱されていては技にはなりません。心が静止している状態だからこそ自在に対応することができます。

この稽古は道場だけではなく、日常でこそ実践する価値があります。むしろ、日常の方がより難易度が高いものです。

頭の理解ではなくて、身体の訓練だからこそ、実際に役に立ちます。私自身も日々、実践しています。

長引く新型コロナウイルスの影響で心は停止しやすくなっています。

一つ一つのことにとらわれず、いつでも心を前向きに使えるように、ご一緒に「不動心」を磨いて参りましょう。

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